ちょっといっぷく 第63話

第63話 嬬恋村訪問記

私事で恐縮だが、南高愛野町に(有)平成農産(資本金1000万円・平成13年度貨物収入高4億6千万円・代表取締役森本元成)という会社がある。

主として島原半島の農産物を、大型トラックで全国各地に輸送する仕事をしている。

島原半島は下記に農産物の収穫がないために、例年夏場の閑散期には群馬県嬬恋村へ高原野菜(主にキャベツ)の輸送の出稼ぎに行く。実は、嬬恋村にはこの度普賢岳噴火の際ひとかたなるお世話になっているのである。

平成3年7月3日の島原新聞に『特産キャベツと義援金』の見出しで、嬬恋村から島原市災害対策本部に、義援金484万円とともに、特産の「高原キャベツ」700ケースが届けられたと報道されている。7月初めというのは高原キャベツの獲れ初めのいわゆるはしりのもので、新鮮で美味しいものをみんなみ食べてもらおうという村民の心根に打たれる。

群馬県吾妻郡嬬恋村の紹介をしたい。

昭和24年「上信越高原国立公園」に指定され、人口約11,000人、日本を代表する高原野菜の大産地。江戸時代は北国往来の裏街道として栄えていたが、天明3年(1783)に浅間山の大爆発で熱泥流で埋まった悲しい歴史もあり「日本のポンペイ」ともよばれている。今回の普賢噴火は「他人事には思えない」と村長や議長、農協長など4氏がわざわざ出向いて市長を励ました。

(以上 島原新聞より)

 前に述べたように、取り引きの関係もあり一昨年夏、初めて嬬恋村を訪ねた。

そもそも嬬恋という名前が文学的なのだが、旅行業者に切符の手配を頼んだらそんな名前の村はありませんという。『嬬』を「妻」で探したらしい。東京から長野新幹線「あさま」で上田までゆく。途中駅弁『峠の釜めし』で有名な横川(新幹線に横川駅はない)を通り、これまた『だるま弁当』で有名な高崎駅がある。だるま弁当の容器はりっぱな硬質なプラスチック製で保存容器であるのに興味をもった。

避暑地の軽井沢を経て、島崎藤村の『小諸なる古城のほとり』で有名な小諸を通過するのだが、小諸という駅はない。

目的地上田まで所要時間73分。

上田には上田城がある。天守閣はないが実戦に使われた城として珍しい。真田昌幸が天正11年(1583)千曲川のほとりに築いた。天正13年(1585)徳川軍8000の大軍を真田勢2000余りで迎え撃ち、奇襲作戦で打ち破った。二度目の合戦は、昌幸・幸村親子が慶長5年(1600年)関ヶ原の合戦へ

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