ちょっといっぷく 第60話

第60話 イージス艦

1991年湾岸戦争のとき、アメリカのイージス艦から発射されたミサイルがレーダーの誘導によって目的に百発百中、的中するのをテレビでみたのは記憶に新しい。あれをみて、戦争というよりテレビゲームをみる思いがしたものである。

丁度10年前の2月、政府系金融機関友の会から、わが国の第1号イージス艦『こんごう』の乗艦見学を誘われた。

三菱重工業㈱長崎造船所本館内のプレゼンテーションルームで艦艇担当部長からイージス艦の概要について説明を受けた。あと乗艦、艦内は小さく遮断されているためイヤホーンの着用や、防寒服、ヘルメットを支給される。

機関漏洩を防ぐため、事前に防衛庁の許可がいるとかで、我々は水交会つまり昔の海軍士官の集まりということで特別に許可がおりたのだそうだ。

乗艦した感想を一言でいえば、軍艦というよりハイテクのオペレーションセンターみたいなもので、乗組員も軍人というより技術者の集団で、昔の海軍魂なんてものは要らないのではないかと思った。

排水量7,250㌧、全長161㍍、最大幅21㍍、速力約30㌩、乗員約300名。一隻の総価格は約1,400億。通常の護衛艦の約3倍という。

レーダーの範囲は数百㌔、ミサイルや戦闘機など多方向から飛んでくる10以上の目標を同時に探知して、対空ミサイルで一気に撃ち落とすことができる「イージスシステム」を搭載できる新型護衛艦だ。

今は海上自衛隊は防空能力の向上を目的に「こんごう」の他に「きりしま」「みょうこう」「ちょうかい」の4隻を導入、うち2隻は佐世保基地に配備されている。

イージス艦を持っているのはアメリカと日本だけだ。

北朝鮮の弾道ミサイルの発射などの脅威に備え、テロ対策特別措置法に基づきインド洋に派遣しているイージス艦「きりしま」を今春にも撤収、同艦を含め稼働可能なイージス艦3隻をすべて日本海に展開させる検討を始めたと新聞は報道している。3隻が日本海に集中すれば北朝鮮に対する最大級の警戒態勢になるというが、無法の独裁国家の暴挙を果たして仰止できるのだろうか。

日本のイージス艦は、今のままでは攻撃できない。1,000億位かけて、さたに迎撃ミサイルやレーダーなどを搭載しなければならずノドン撃墜が技術的に可能かどうかを見極める段階という。

※イージス語源

イージスはギリシャ神話の最高神ゼウスが身につけていた胸甲のことである。その胸当ての盾には、恐ろしい怪物ゴルゴンの模様が描かれていたように、恐ろしく強い軍艦という意味だろう。

(前島原商工会議所会頭)

2003年4月8日

 

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