ちょっといっぷく 第34話

第34話 時局

 

のっけから個人的なことで恐縮であるが、息子の法律事務所から機関誌『流水』第12号が届いた。多少過激であるが森本弁護士のコラムを紹介したい。

1.アメリカの大統領選挙も終り、政治的混乱は終息に向かっている。その前に起きた日本の某代議士の反乱も、古狸達の暗躍により終焉し、超低空飛行の支持率の総理大臣をかつぎあげ、総理大臣経験者を大臣に置き、死に物狂いの挙党一致体制ができあがった。もっとも、民意と乖離し、半ば国民はあきらめ顔である。(やはり同じ穴の「ムジナ」であったか。狸とムジナは別物か等とくだらないことを考えてしまう。)

2.アメリカの景気もかげりを見せ、IT関連企業の成長性に対する疑問、クリスマス商戦の低調さから株価は下落、それに併せて、アメリカがくしゃみをすれば風邪をひく日本では、政治不信とアメリカのコピー相場で、2年前の株価水準まで下落し、底値を知らぬ下がり方をしている。円も円安基調で取引高が少なく、日本経済の危機のシグナルを示している。

3.さて、いよいよ21世紀。国民の意思とかけ離れた政治と低調な経済の中で明るい未来像は見えてこない。日本沈没のシナリオが進行しているのか、それは戯言「たわごと」に過ぎず再び右肩上がりの成長が復活するのか。

政治は、人気取りの目に見えるパフォーマンスだけを追求するようになってきており、益々代議士先生の馬鹿さ加減が周知のものとなりつつある。こうなると、お役人がしっかりしていた時代が懐かしいくらいである。

4.他方で、マクロ的な国家像、経済観から逃避し、個人的な生活領域のみを考えていく自己中心的人物(“自己中”)が増大すると人任せの無関心であって、何やら末期的であり、いよいよ世界崩壊の兆しでさえある。

個人の生活領域から“一歩前へ”飛び出して、社会領域への関心を深める時期が来ている。

以上がコラムの要旨であるが、この時代、政治家は国民に向かって、個人はどういう生き方をすべきか、この国はどのような『かたち』を目指すのか、具体的方策を提示する説明責任があるのではないか。

97年英国ブレア首相の演説に「英国はもはや超大国にはなれないであろう。しかし、英国を最も住みやすい国、つまり子供を育て、充実した生活を送り、老後を暮らすために最良の国にすることはできる。」

インドの詩人タゴールの詩は「未だ夜明けは暗くとも、暁けの鳥が啼き出して日の出を告げると、私の心もまた偉大な未来の到来を主張して歌い出す。それはもう間近に迫っている。」このような語りかけの出来る政治家が、この国にどうして出てこないのだろうか。(島原商工会議所会頭)

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