ちょっといっぷく 第99話 三題噺

第99話 三題噺 その2 念ずれば花開く

念ずれば花開く

これは元ヤクルト野村克也氏の座右の銘である。高い目標を達成する意思を持ち続けて挑戦すれば、いつか大願成就できるという意味であろう。

今年の1月1日の島原新聞に、サッカーで半島再生のことを書いた。読まれた方は、そんな夢みたいなことを…と思われたに違いない。だが、一粒の種は着実に育ちつつある。

3月に発足した『V・ファーレン長崎』が誕生、「2年以内にJFLに参戦し、2010年までにJリーグ昇格を狙う」と、国見高のOBの岩本文昭監督は頼もしいことをおっしゃる。ぜひ大輪の花を咲かせてもらいたいと思う。

これからの話は、(財)雲仙岳災害記念財団副理事長としてではなく、一市民の立場で参考意見を提案するものである。

1月26日付の島原新聞では、雲仙岳災害記念館の入場者数が減って今期初めて赤字が出、運用財産から6,000万円を繰り入れたと報道された。

そもそも災害を後世に伝えるという施設の基本理念があり、開設当初から年間6,000万円を40年間に渡って取り崩す方針で、24億円の運用財産を確保しているので、そのこと自体は特に問題ない。

また今後の経営の在り方や、地元に親しまれる方策などについて『雲仙岳災害記念館のあり方懇話会』を立ち上げ運営を地元で受け入れていく方向で話し合いがもたれていることも報道されている。

さて、この記念館は博物館の一種だから赤字になるのは当然だという発想にはいささか抵抗がある。勿論運営にたずさわっている現在の職員各位の努力については敬意を払うのに決してやぶさかではないが、折角の経営資源があり、それにより更に金を生み、多大の波及効果が期待できるとすれば挑戦しない手はなかろう。

以下、東京ディズニーランドの社長加賀見俊夫著『海を越える想像力』から幾つかのヒントを紹介する。

「2年目のジンクス」というのがあって、初年度はものめずらしさや話題性から大勢のお客をあつめるが、2年目になると急激に減ってしまう。一度見てしまえばもう結構、二度来る必要はないと思われてしまう。これは、内容に原因がある。

進化を止めたとき、それは老化の始まり、常に新陳代謝を続けよ。常に反省と改善を忘れないことが秘訣、徹底的に顧客の満足度を追求せよ、と手厳しい。

そこで提案だが、記念館を取り巻く自然そのものが経営資源となりこれを生かせば投資額は少なくてすむ。単体で存在する施設すべてを有機的にむずびつけて、楽しみを倍加する仕掛けを段階的に考えていったらどうか。

新しい体験や機能を高い品質で提供し、人の気持ちをわくわくさせるものには人気が集まるだろう。過去に体験したことのないものを初めて体験する興奮は、いつの時代にも心を活性化させるし、そういうものに出会えるから楽しいのである。

災害という暗いイメージだけでは、どうしても制約があり限界があるのは理解できる。

ならば記念館の隣接地に暗さ、寂しさを排除したまったく新しい教育的で記念館のコンゼプトにマッチしたものを創ったらどうか。

3月25日開幕した愛知万博のテーマは『自然の叡智』『愛・地球博』だそうだ。半年間の博覧会が終わったあと、あのパビリオンの後始末はどうするのだろうか。

そして登場したロボットや、CG(コンピューターグラフィック)はどうするのだろうか。

1つか2つ記念館の関連施設として活用する方法はないものだろうか。

大胆な提案かもしれないが、念ずれば花開くのである。

2005年4月5日